2008年11月15日付
秋田魁(さきがけ)新報 2008年(H.20)11月14日付より転載
下水処理悩みの種 余剰汚泥フェライトで減量
秋田大学と当社の共同研究による、下水道の生活排水処理により発生する余剰汚泥を減量化する試みが、秋田市の秋田さきがけ新報に紹介されました。以下にその全文を転載します。

下水道の生活排水処理は微生物入りの活性汚泥による方法が主流だが、処理過程での微生物増殖に伴い余剰の活性汚泥が生じ、その分を廃棄せざるを得ないことが悩みの種となっている。そんな余剰汚泥を、磁性材料のフェライトを使って減らす試みが、秋田大工学資源学部の鈴木雅史教授と、秋田市に工場を置く五十鈴製作所(名古屋市、冨松久益社長)の共同研究で進められている。実験室レベルでは効果が確認され、より大型のプラントによる実験を準備中。鈴木教授らはきょう十四日、秋田市で開催中の日本水処理生物学会で減量化の手法を発表する。

 活性汚泥による汚水処理は、(1)空気を送り込むばっ気槽で汚水に活性汚泥を加え、微生物で有機物を分解 (2)沈殿槽で分解 (3)「上澄み」を処理水として排出ーする仕組み。沈殿した活性汚泥は再び処理に使われるが、微生物の増殖により必要以上に増えてしまった分は、廃棄するしかないのが現状だ。
 増殖を防ぎ活性汚泥を一定量に保つため、オゾン殺菌などの研究が行われているが、鈴木教授らはより環境負荷が小さい手法としてフェライト粉体を使った殺菌法を提案する。五〇-八〇ミクロンの粉体を、磁石を使って密集させたり拡散させたりしながら、微生物をすりつぶすアイデアだ。発生する微生物の死がいは、ばっ気槽に戻し、活性汚泥で汚水とともに分解処理する。
 大学研究室に設けた容量七リットルのタンクで約一ヵ月の実験を行い、余剰汚泥の除去量を測ったところ、総除去量は通常処理の半分程度という結果を得た。大型化した場合の処理時間の検討などが課題となるが、今月末からは五十鈴製作所秋田工場(秋田市御所野湯本)が製作した容量七十リットルの大型実験プラントで、実際の生活排水を使った実験をスタート。数ヵ月かけて効果を検証する。
 この手法を用いれば、沈殿槽からばっ気槽へ活性汚泥を返送する既存のパイプに、フェライトのシステムを組み込むだけで済み、施設の大規模改修がいらないことも大きなメリット。鈴木教授は「一年以内に実用化を目指したい」と話している。
 フェライト粉体を使った殺菌は十五年ほど前、日本酒(生酒)の殺菌除去の手法として秋田大の吉村昇学長が考案した。結果的に食品分野での実用化は断念せざるを得なかったが、新たな分野に活路を見いだした形だ。
 県下水道課によると、県内の下水道や農業集落排水で発生する余剰汚泥は年間約六万五千トンに上り、廃棄物として焼却や埋め立てにより処分されている。

(写真は実際の生活排水を使った実験が行われるプラント。中央のガラス管に沈殿しているのが活性汚泥=五十鈴製作所秋田工場)
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